PART.33 呪いを受けたオーウェン
これはエルちゃんと闇の精霊が発掘場にいたときのこと。
ヤーズ「なぜ?なぜそうなったの?」
ヤーズちゃんとマルタさんが高い遺跡の上で話している。
そこにエダンも登ってきた。
エダン「・・・ふぅ。」
マルタ「私を訪ねてここまで来るとは・・・また、何かあったんですね?」
エダン「あなたとは、いつもこんなときにだけ出会えるね。・・・助けが必要だ。」
マルタ「話はすでに聞いています。大地の起源・・・ですよね?ふふ、運がいいですね。まさにここです。遺物を調査中でしたが、まさにここでした。」
エダン「ほう・・・。アルスティンが言った試練とは、あなたに会うまでの苦労を意味していたようだな。大地の起源を呼び起こして、ここに入れないといけないが、方法がわかるか?」
アルスティンがもっていた物と同じ形状の容器を見せるエダン。
マルタ「それはもちろんです。それより、負傷したあなたが心配ですね。きっと大地の起源は、あなたの資格を試すはずだから。」
エダン「あなたが私に与えた試練ほどではないのでは?」
マルタ「・・・もう、分かりました。真ん中に立って呪文を唱えて」
ヤーズ「何?どんな試練だったの?」
マルタ「あなたは知らなくていいんです。ここは危なくなるから、ヤーズは下がってください。」
ヤーズ「ちぇーっ」
マルタ「呪文は、ナスダ エラヒマ コ メタン カラテです。」
エダン「ナスダ・・・えっと・・・なんだって?」
マルタ「ナスダ エラヒマ コ メタン カラテ!」
エダン「ナスダ エラコマ」
マルタ「エラヒマ!!」
エダン「ナスダ・・・エラヒマ・・・メタン」
マルタ「あーもう!!」
・・・
エダン「ふぅ・・・いくぞ・・・。」
マルタ「ようやくですね・・・。」
エダン「ナスダ エラヒマ コ メタン カラテ」
一時の静寂。そして強い風が吹きどこからともなく荘厳な声が響いた。
我を呼んだのは誰だ・・・。
大地の静寂を目覚めさせようとしているのは誰だ・・・!
・・・
強い風によって、エダンとマルタは倒れ込むが、その容器の中に大地の起源は入りこんだようだ。
エダン「やはり・・・あなたの試練よりは簡単だったな。」
マルタ「はぁ・・・まったく。」
(*‘ω‘ *)「だいじょび?」
エダン「君か。やはり来ていたのだね」
(*‘ω‘ *)「うん。あ、下の発掘場なんだけど、変な古代兵器があって大変だったよぉ」
マルタ「まさか、そんな事があったとは・・・」
(*‘ω‘ *)「まぁそこまででもなかったけど。エダンは大丈夫?」
マルタ「エダンなんて全然心配しなくていいですよ。」
エダン「おいおい・・・。まぁ、オレのことは心配するな、ヤーズがケプランへ治療をしに連れて行ってくれることになった。」
(*‘ω‘ *)「そっか、なら大丈夫だね。そういえばオーウェンさんはどこへ行ったんだっけ?」
エダン「オーウェンはカプラス洞窟があるフローリンという場所に行ったよ。」
(*‘ω‘ *)「カプラス洞窟・・・。」
マルタ「カプラス洞窟と言う名は、そこを長年研究していたカプラスという研究家の名前からとったのですよ。彼は清水の起源について研究していました。・・・しかし、その付近は今危険な状況だと伝え聞いています。もしかしたら、オーウェンに何かあったのでしょうか・・・」
(*‘ω‘ *)「そりゃ大変だ。」
ヤーズ「よぉエル。よく会うな!」
(*‘ω‘ *)「あら、ヤーズちゃん。はおはおっ」
ヤーズ「私達も向かってやりたいが、エダンはまだまだ傷がいえない。私もエダンをケプランってとこに早く連れて行かないといけないんだ。」
エダン「うむ・・・。すまない、エル。カプラス洞窟に行って、オーウェンのことを助けに行ってくれるだろうか・・・」
(*‘ω‘ *)「構わんよ」
さて、こちらカプラス洞窟!
なんだか怪しげな洞窟ですなぁ(*´ω`*)入り口にいたフィルラングっていうおじいさんが「ここには闇の精霊が宿った人間がうろちょろしてる、危険だ」と制止してきましたけど、構うもんか(*´∀`*)エルちゃん選ばれし冒険者なんで!
さあ、中へ進むのです・・・!!
ズバシャ!!どっしゃー!
(*‘ω‘ *)「よ・・・よわい」
闇の精霊「脆弱だ。これがオレと同じ闇の力をもってる者かよ。ははっ、やはり俺たちは特別なのかもなぁ」
(●´ω`●)「にへ」
闇の精霊「しかしこんなに闇の力をもったものがいるとは。ジョルダインが俺たちへの挑発に用意したのかね。奥へ行ってみよう。ジョルダインの痕跡が見つかるかもしれない。」
(*‘ω‘ *)「おういえっ」
(´・ω・`)「うへぇ・・・あんたみたいなのが大量に湧き出てる・・・」
闇の精霊「失礼なやつだな。オレはこんな半端な奴らとは違うぞ。お・・・。ここにオーウェンが来てたらしいな」
(´・ω・`)「なんで分かるの?」
闇の精霊「闇の精霊同士は記憶を共有できるのさ。お前にも見せてやる。」
(´・ω・`)「乗っとらないでよ?」
闇の精霊「乗っ取るつもりだったら黙ってやるさ。ほら、早く集中しろ!」
・・・
フィルラング「私もこんなに深くまで降りてきたことはない。度胸のある者も、ここまでは来ようとしないから。」
フィルラング「カプラスか・・・そいつだけはやけにここが好きだった。」
二人が奥に目をやると・・・
オーウェン「!!?・・・ジョルダイン!!?」
フィルラング「ジョルダイン!?ハイデルのか!?」
ジョルダイン「誰だ・・・?私は彼ではない。」
オーウェン「・・・!・・・ジョルダイン!聞いていますね!?・・・あなたはハイデルの侍従長じゃないですか!」
ジョルダイン「戯言を・・・!セレンディアは私を捨てた!!」
オーウェン「・・・!」
ジョルダイン「私を捨てた世界の破滅のために、私は闇と一つになったのだ。そして必ず、私の宿願を達成する・・・!!」
オーウェンは手に持っていた弓を構え、ジョルダインに矢を向ける。フィルラングは岩陰に隠れる。
オーウェン「今の選択を後悔することになりますよ・・・。」
ジョルダイン「生意気な奴め!お前の魂を引き裂き、闇の穴に投げ込んでやる!」
オーウェンは目で追うことのできない速さで三連の矢をジョルダインに向かって放った。
しかしどういうわけか、その光の矢はジョルダインの手前で静止してしまった。
オーウェン「・・・そんなっ・・・!」
ジョルダインが剣を一振りするとそれらの矢は一瞬で砕かれ地に落ちる。
ジョルダイン「弱い。愚鈍だ。だが・・・純粋だ。」
なすすべのないオーウェンの喉元にジョルダインが剣先を突きつける。
ジョルダイン「純粋な魂であるほど、黒く燃え上がるときいい匂いがする。お前の魂に、闇の刻印を刻んでやる」
オーウェンの体に、ジョルダインから出た闇が纏わりつく。
ジョルダイン「毎日、恐れと恐怖に怯え続けた挙げ句、私のもとに来るんだ。」
・・・
大丈夫かな、オーウェンさん・・・。
洞窟を後にし、入り口まで差し掛かると、先程話しかけてきたおじいさんが声をかけてきた。
フィルラング「お・・・おいっ」
(´・ω・`)「?」
フィルラング「あんた。大丈夫だったのか・・・?」
(´・ω・`)「あぁ、別に大丈夫ですよ。私つよつよのすーぱーエリート級冒険者なんで。それで・・・オーウェンさんはどこへ・・・?」
フィルラング「・・・私は彼女のことを君に話してはいないはずだが・・・」
(´・ω・`)「あぁ、私ほどのすーぱーエリート級冒険者ともなると、過去の記憶を遡れるんです。」
フィルラング「・・・これは驚いた。オーウェンだったな。あの事が起きた後、フローリン村の人々が見つけて連れて行った。彼らは優しくて純朴だから、精一杯治療してくれるだろう。」
(*´∀`*)「フローリン村ね。りょーかいっ。」
フィルラング「君・・・名前は・・・?」
(*‘ω‘ *)「エルちゃんです。いずれ、この世界を救う者の名です」
フィルラング「エル殿・・・!覚えておきましょう・・・。」
清水の起源についてはわからなかったけれど、とりあえず今はオーウェンさんが心配だ・・・!
フローリン村へ急ぐエルちゃんであった。