PART.84 カーマスリビアとの黎明の条約
ヴォルクス「久しぶりだ、エル殿。君は来ると思っていたよ。」
(*‘ω‘ *)「面白そうな場所には行かないとね」
ヴォルクス「ふふ、さすがは冒険者だ。カーマスリビア・・・我々カルフェオンと長きに渡って友好関係を築いてきた国だ。過去にな、カルフェオン北部のトロルと、南部のサウニールが争った時、当時のカーマスリビアの姫君、ブロリナ・オーネット様が大勢の援軍を送ってくれてね」
(*‘ω‘ *)「ほえー、そんなことが。」
ヴォルクス「今、その方は女王に即位して、首都グラナを懸命に統治されているようだ。まぁ、詳しいことはデルパード様がご自身で説明したいとおっしゃっていた。話を聞いてみるといい」
(⌒▽⌒)「おういえっ」
ヴォルクス「さて、長き旅には良き装備が必要であろう。これからも君の助けになるように、装備の強化に関する助言を記して君に送ろう。大事にしてくれたまえ。」
(*‘ω‘ *)「ありがとうヴォルクスのおっちゃん!」
ヴォルクス「それではな。君の旅にエリアン様の御加護があるように。」
・・・
デルパード「おお!きたか、エル!カルフェオンのためによく尽力してくれたな。」
(*‘ω‘ *)「おひさ」
デルパード「ヴォルクスから聞いたかな?我々はカーマスリビアに使節団を送ろうとしている。これはもともと、ブロリナ・オーネット女王と結んだ黎明の条約があるからなんだが。」
(*‘ω‘ *)「黎明の条約・・・?」
デルパード「うむ、トロルとサウニールの争いは聞いたかな。その時にカーマスリビアには大きな恩を受けてね。そこで結ばれた契約なんだ。『いつか、ブロリナ・オーネット女王が助けを必要とした時に、カルフェオンは喜んで力を貸す』というものだ。」
(*‘ω‘ *)「なーるほどね。」
デルパード「しかしな・・・私は少し心配だ。以前と今とでは状況がかなり違っていてね。彼らがどれほど真摯な者たちなのか、疑問がある。そもそもカーマスリビアは非常に閉鎖的な国だから。先代の女王、アメリア・オーネットの時代には、交易どころか人の往来すらもままならなかった。」
(´・ω・`)「ほむ」
デルパード「しかし、今ブロリナ女王の統治となり、門戸が開放されはしたが、彼女たちは軍事支援を要請してきたんだ。」
(´・ω・`)「軍事支援を?なんでまた。」
デルパード「あの土地はな、美しい包装紙を幾重にも重ねたような場所なんだ」
(´・ω・`)「???」
デルパード「カーマスリビアの種族は、女神シルビアの子孫だと自称して、上辺では一つの国として存在しているように見える。しかしその実、互いをガネルとベディルに区別して紛争をしているのだ。」
闇の精霊「確かあのオーウェンとかいう女はガネル族だったな」
(´・ω・`)「ふむ」
デルパード「そんな紛争中のところに、何も知らぬ我々が、ただ条約だからといって軍事支援などしたらどうなる・・・?ともすれば、カーマスリビアを火の海にすることにだってなりうる。」
(´・ω・`)「なーるほどね?それで使節団か。」
デルパード「そこでだ。君に使節団として働いてほしい。」
(*‘ω‘ *)「お?」
デルパード「君ほどの力を持った冒険者であるなら、何にも惑わされず、客観的に物事を判断できるだろう。」
(*‘ω‘ *)「なるほど。いいですよ。カーマスリビアの調査、してきます」
デルパード「ありがたい。エンカロシャー家も支援に協力してくれるそうだ。・・・ところで・・・」
(*‘ω‘ *)「ん?」
デルパード「気のせいか・・・?以前あったときとは、面構えが違うように感じるが。」
(*‘ω‘ *)「ふふ、自分が何者なのか、そしてこれから何をすべきなのかがはっきりしたからね!」
デルパード「ほう・・・それは素晴らしいことだ。君のこれからの冒険が更に良きものになることを祈っている。」
・・・
エンリック「あぁ、君か。姪のことは済まなかったね。」
(*‘ω‘ *)「あぁー・・・ネラちゃんね。見つかってよかったよ」
エンリック「まったくあの子は・・・、秘密守護団?だかなんだか知らんが、変な奴らとつるみおって。好奇心が強すぎるのも考えものだな。」
(*‘ω‘ *)「はは、そうっすね」
エンリック「さて、使節団に君も同行するらしいね。首都グラナに直行できる空の馬車を用意したよ。」
(*‘ω‘ *)「!!!・・・空!?」
エンリック「そうだ、なかなか快適だぞ。大空を気球で飛ぶんだ。ま、彼女たちの紛争に巻き込まれなければいいがね。」
(´・ω・`)「さ、さすがにドンパチまではいってないでしょう?」
エンリック「まぁね、さて、名目上は使節団だが、私はこの機を逃したくない。」
(´・ω・`)「ほえ?」
エンリック「エンカロシャー商団が、彼女たちとの貿易の先頭に立ちたい。だから私達が支援に名乗りを上げたのだ」
(´・ω・`)「うわぁー・・・もともとは恩に報いる外交だというのに。」
エンリック「いついかなるときにも商機を見出す。商人の鉄則だ。わかるか?」
(´・ω・`)「はぁ。」
エンリック「お前の今回の任務がいかに重要であるかを肝に銘じるのだ。任務が無事終了すればお前にも十分な報酬を約束する。」
(´・ω・`)「ま、報酬がよければやりますけどね」
エンリック「知りたいのはグラナの動向、そしてカーマスリビアの国力だ。余力があれば、どれだけの資源があるかどうかもチェックしてもらいたいがね。」
(´・ω・`)「はいはい、そんじゃ行ってきますよー。」
そんなわけで、次回はいよいよカーマスリビアに・・・!!それでは、今日はこのへんで!(*‘ω‘ *)