PART.82 私の正体
コクロの石室に戻ってきた。
私が・・・何者なのか・・・。
闇の精霊「開けろ。古代の槍を使って。」
エル「なに?今は怖くないの?」
闇の精霊「知らないから恐怖するんだろう。しかしオレは全てを思い出した。」
エル「そう・・・。」
差し込む穴に、古代の槍キベリウスを入れる。
ズズズズズ・・・・ガチャン・・・・
石と石とが擦れ合う鈍い音を立たせながら、古代の遺物が開く。
古代語で書かれた、黄金の石版が入っていた。
その石版を手に取ると、何かの装置のロックが解除されたような音が聞こえる。
エル「何か・・・開いた・・・?」
闇の精霊「見ろ、後ろで光っている。」
闇の精霊「覚えてる?オレたちが初めて力を蓄えたあの石室を。たしか、古代人の石室だったよな?・・・あそこで、誰かがオマエを呼んでいる。」
エル「この装置を起動させるの?」
闇の精霊「そうだ。その光に触れろ。」
そっと光に手を触れる。その瞬間、景色は全く別のものへと変わる。
エル「!!?」
闇の精霊「バレノスの古代の石室だ。」
エル「さっきまでバレンシアにいたのに・・・!?」
闇の精霊「古代の力だよ。ほら、あの台に乗れ。」
・・・
エル「・・・頭がついていかないわ。」
闇の精霊「心配するな。全てわかる。」
目の前に大きな光る遺物・・・?近づいてみると・・・。
ズォォォォォォオオ!!!!
エル「!!?・・・なっ!!!」
光る遺物から大きな存在が姿を表した。
エダナの守護者「ついに現れましたか。我が王の子孫よ。」
エル「・・・・・・!?」
エダナの守護者「私はエダナの守護者。過去からこの古代の門を守っていました。」
エル「え・・・えと・・・」
エダナの守護者「恐れることはありません。私はあなたを助けるためにいるのです。」
エル「!?・・・なら、全て教えてくれるの・・・?私が何者なのか!私がなんなのか!!」
エダナの守護者「・・・いいでしょう。私があなたに知識を授けましょう。」
エル「それじゃぁ・・・闇の精霊のこと、昔のことを知りたい。」
エダナの守護者「いいでしょう・・・」
・・・
古代に巨大な隕石と黒い石がバレンシアに堕ちました。その時に闇の精霊は生まれました。闇の精霊は一部の生命体の脳に寄生し、黒い石の力をもって完全体になることを目的としています。
しかしそれが簡単ではなかった。闇の精霊に寄生された生命体は、黒い力を制御できずに自ら潰れてしまった。しかし、最後まで戦い、勝った者がいます。
それが、あなたの先祖、偉大なエダナです。
・・・
エル「エダナ・・・私の先祖・・・」
エダナの守護者「その後、彼と彼が指揮しているカブア族は、その黒い石の力を制御し利用し始めました。石に刻まれた模様を利用して文明の時代を築き、二度の生によって繁栄をもたらしたのです。あなたの闇の精霊もその時代から存在していたのです。」
エル「黒い石のちからによって繁栄を築いた・・・。」
エダナの守護者「ここにあなたがいるということは、あなたも闇の精霊と戦って打ち勝ったということですね?」
闇の精霊「さて、なんのことだか。」
エル「その繁栄によって建てられたのがバレンシアという国?」
エダナの守護者「そうです。建国伝説、と言われていますね。それではその話を。」
・・・
バレンシアはカブア族が建てました。そしてその最初の王がエダナなのです。
あなたがもってきたその石版、それはエダナが黒い力を制御するために使ったものですよ。
私を始め、古代の巨大生命体の心臓を制御し、無力とする力。その根源もまた、黒い力なのです。
しかし、強欲な人間と闇の者共は、その力を欲しがった。
エダナはその子孫のために、また人類のためにその石版を用いて古代生命体を制御しました。あなたもまた、賢く純粋であることを信じています。だからその力を大切に扱ってほしい。
・・・
エル「・・・あと・・・、どうしてこの闇の精霊は私につきまとうの?」
エダナの守護者「気づいていませんでしたか?その闇の精霊が、エダナと一緒にいた闇の精霊なんです。」
エル「え、そうだったの・・・?」
闇の精霊「ふん。」
エダナの守護者「エダナに負け、粉々になりましたが、自我があなたのことを記憶していたのでしょう。エダナじゃないあなたにだったら、勝てると思ったのではないですか?まぁ、今の姿を見るにそれはなし得なかったようですがね。」
闇の精霊「はっ!オレが復讐するためにコイツについたって?まさか!エダナの子孫だったら強大な力を振れると思ったからくっついただけだよ!」
エル「本当かよ・・・」
・・・
エル「私はこれからどうしたら・・・?」
エダナの守護者「それはあなた自身が考えることでしょう。私にもわかりません。しかし、一つ大事なことは、あなたがそのエダナの子孫であるということを忘れないこと。」
エル「エダナの子孫としてどう生きるか・・・?」
エダナの守護者「エダナはあなたのような子孫たちのため、そして人類のために多くの偉業を成し遂げた。そしてあなたにもそれをする力が受け継がれている。であれば、あなたの前に待ち受ける多くのことを、あなたはどのように対処しますか・・・?」
エル「ふむ・・・」
エダナの守護者「闇の力に支配される心弱き者たち。彼らを正しい方向へ導くことができるのはあなただけ。そして多くの人々を救うのが、あなたの使命です。」
・・・
エダナの守護者「エルよ、我々はまたいつか会えるでしょう。またあなたがこの古代の門を開く時に。」
エル「聞きたいことはまだまだたくさんあるけれど、でも私が何者かがわかってスッキリした。」
エダナの守護者「それはよかった。しかし、あなたはまだあなた自身のことを、そして多くのことを知らなければならない。それは私が教えられるものではない。旅を通じて、世界から学ばなければならない。」
エル「わかった!使命・・・、強欲に塗れた人間たちに正義の鉄槌を下しまくって目を覚まさせるのが私の使命ということなのよね!」
エダナの守護者「まぁ、そういうことですね。それでは、私はこれで。この姿ではそう長くいられないのです。」
エル「うん!それではまた!!!色々おしえてくれてありがとう!」
エダナの守護者「あなたの旅に、強き力と、優しき心が伴うように。」
・・・
気づくと、また元いたコクロの石室に戻っていた。
続く(*‘ω‘ *)