黒い砂漠メインストーリーまとめ!

 黒い砂漠のメインストーリーをゆっくりじっくり読み解いていくブログです! ストーリー、飛ばしちゃったあなたも、内容を忘れちゃったあなたも!このブログを読んでストーリーを一緒に楽しみましょう!

PART.61 闘技場の虐殺者

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何度も見た光景だ。向こうから聞こえてくる熱狂的な歓声に、私は何の感慨をも覚えない。否、むしろ怒り、悲しみ、失望。様々な負の感情が湧き出てくる。

私は満たされぬ。何事にも。何者にも。

 

・・・

 

私は妻を愛していた。姿もそうであったが、その心がなによりも美しかった。彼女は一切の悪意を持たず、人の幸福を心より願っていた。

私は娘を愛していた。母に似て心優しく綺麗だった、それでいてしっかり者の娘は、私の最大の自慢だった。

この家族の為ならば、私の命など全く惜しくない。たとえ全世界を敵に回そうとも、私は彼女たちを守ると、そう決めていた。

 

・・・

 

軍事力の強化のため、国は財力を失い、私の村も貧しくなった。百卒長の地位にまで上り詰めていた私のかつて得た多くの財を、いつしか国は妬ましく思った。

戦争が起きた時に、王は私を軍隊の最前部へ配属した。私を殺し、その財を国のものとするために。

しかし私は、愛する家族を置いて死ぬわけには行かなかった。私は百卒長としての責務を果たしつつ、生きたまま村へと帰ってきた。

 

・・・

 

帰るとそこには何もなかった。荒れた村。荒された住まい。生きた人の気配はなかった。

そこにあったのは、山積みにされた村人の死体だけだった。

私は急ぎ、妻を、娘を探した。死ぬはずがない。何の罪も、何の悪意もない彼女たちが、無残に殺されるはずがない。殺されていいはずがない。

 

しかし、私の祈りにも似た願いは叶わなかった。寝室は血で染まっていた。妻は串刺しにされ、娘は辱められた後に無残に殺されていた。

 

・・・

 

我が魂は純粋なる復讐心に燃えた。必ず殺す。この村を襲撃した者を。それを指示した者を。そして国王を。

あの魔女が現れたのはそんな時だった。私の力では足りないと彼女は言った。私は力を求めた。闇だろうがなんだろうが、私はただただ力を求めた。我が愛する家族の無念を晴らすためであれば、私は何者になろうとも、たとえ自我を失おうとも、一向に構わなかった。

 

・・・

王を殺める前に、私は何百人もの兵に囲まれ、捕えられた。そしてアルティノに連れてこられ、闘技場の見世物となった。何度も脱走を試みたが、魔術師たちの結界だろうか、この闘技場から私は出ることが出来なかった。

 

私の怒りは決して消えることがなかった。しかしいつしか、怒りの方が私を支配しているように思えた。闘技場に送られてくる者達にはなんの恨みもないが、彼らを目にした瞬間、私は正気でいられないのだ。気づけば、彼らのばらばらな死体が目の前に広がっているだけだった。

・・・

 

「さぁ!闘技場の虐殺者に挑むは!!シェン商団の冒険者!紫髪の黒獣使い!カルフェオンの英雄と呼ばれる、冒険者エルです!!!」

 

騒がしい声が闘技場に響く。基本的にここには、どこぞの富豪の所有する奴隷や、捕えられた強力な亜人種のモンスターぐらいしか来ないが、時々今回のように、馬鹿な冒険者が挑戦しにくる。

 

あまり人を殺したくはない。闘技場に向かいたくもない。しかし、私の脚が闘技場へ向かうのだ。私の手が武器を取るのだ。そして闇が、私の身体と精神とを血に染めようとするのだ。

 

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「あんのぉ・・・」

 

目の前には、小さな女の冒険者。娘が死んだ時も、これぐらいの年齢だったか・・・あるいはもう少し上だったか。

今までのすべての者は私を前にして皆震えおののき、凍ったように身動きを取らなかった。しかしこの冒険者はどうだ。武器も取らず阿呆みたいに突っ立っている。なんだか喋り方も少し間抜けだ。

 

「力ある者か。あるいは只の馬鹿か。」

 

闇が私に剣を握らせる。

いつからだろう。私は興奮を覚えるようになった。この小娘をどうやって殺そうか。どう血しぶきをあげさせようか。首を斬るのは最後にしよう。どのような叫び声を上げるのかが楽しみでしょうがない。

 

・・・

 

闇の精霊「クク、ほら。イレズラのオーラだ。」

(´・ω・`)「・・・なんかでも、この人のオーラ、なんか違う」

闇の精霊「ん?そりゃイレズラみたいなわけのわからない魔女が作り出したオーラだ。純粋なオーラではないだろう」

(´・ω・`)「うーん・・・そうなのかな・・・?」

 

カバリ「・・・誰と話している」

(´・ω・`)「???・・・闇の精霊とだけど。」

カバリ「・・・闇と・・・?」

(´・ω・`)「あんたどうせ闇に囚われてるでしょ。クソ雑魚ね。鍛錬しないからそうなるのよ。」

カバリ「・・・ふ・・・ふふ」

(´・ω・`)「?」

カバリ「フハハハ!!!!!久しぶりだ。我を楽しませられそうな冒険者は。貴様のような冒険者を無残に殺す時、叶えられぬ復讐を、自分の無力さを一時でも忘れられる。」

(´・ω・`)「過去に何があったのか知らないけど・・・あんまり復讐なんて考えないほうがいいわよ。きりがないわ」

カバリ「きりはある。私が全てを終わらせ、私自身をも終わらせる。それを果たすまで、私は死ぬわけにはゆかない。」

(´・ω・`)「あっそ」

 

 

カバリ「・・・さて。いつまでも話してやるつもりはない」

 

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カバリ「死ねぇ!!!」

エル「!!!?・・・ぐぅ」

なんの予備動作もなしに剣を抜くカバリ。すんでのところでかわし、致命傷を免れる。

エル「え・・・やば・・・!」

カバリ「おっと・・・死なせるのはまだだったな。さて・・・、大見えきったからには少しはやれるのだろう・・・?まさかこのままなぶり殺されるのか・・・?」

 

エル「これは・・・あんまり余裕ぶっこいてらんないわ」

闇の精霊「クク、俺が力を分ける。全力でいけ」

 

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天聖棍に力が宿る。

エル「あんまりあんたの力に頼りたくないんだけど・・・」

闇の精霊「死ぬのとどっちがマシだ?少しは考えろ。」

エル「・・・」

 

カバリ「準備は終わったか・・・?」

エル「ふん、待ってくれるなんて、結構優しいのね。昔は騎士さんとかだったのかしら」

カバリ「・・・戯言を。」

カバリの乗る馬が駆ける。ふと姿が消える。

 

闇の精霊「後ろだ!!」

エル「!!?」

 

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エル「・・・あぁ!!」

いきなり背後に現れたカバリの斬撃をもろに受ける。

カバリ「弱い・・・弱い弱い弱い!!!弱いぞ小娘!!!!!」

 

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エル「ヤバいどうしよう強い・・・」

闇の精霊「正直ここまでとはね。天聖棍を使っても致命傷は与えられないか・・・」

エル「エルちゃん棒なんですけど。まぁいいわ。このままだとまずい・・・。あなた絶対負けないとか言ってたじゃない。何か方法はないの?」

闇の精霊「あるにはある」

 

エル「何よ。あるならさっさと教えなさいよ」

 

 

闇の精霊「お前が闇の力に支配されることだ。

 

 

( ゚д゚)「・・・は?」

 

続く( ゚д゚)

 

PART.62 闇の精霊の怒り