PART.20 フレハラウの友、ドナト
地下倉庫に入ってきたエルちゃん。そこにまた一つの小さな部屋があり、そこで一人の兵士、エダン、そしてハイデルから派遣された調査員のセレミオが実験体とされたフォガンを見ながらその周りで話し合っている。
セレミオ「村一つを廃墟にしたとなると、きっと理由があるのでは?」
セレミオは机に置かれた様々な薬品漬けにされたフォガンの実験用の死体を見て、
セレミオ「確かなのは、これは錬金術ではない。」
エダン「・・・どこかに痕跡を残しているはずだ。」
セレミオ「すでに私の副官が立ち寄りに行った。ご覧のように、装置はすでに壊れていたらしい」
そういいながら、セレミオは大きな装置のレバーを起動させようと動かすが、特に変化はなかった。
セレミオ「君は、こういったものに精通していると言っていはいなかったかな?今がその能力を見せるときだと思うが・・・?」
エダン「・・・待ってくれ・・・!」
その時、フォガンの死体から黒いオーラが飛び出したのがエダンとセレミオに見えた。
セレミオ「な・・・なんだ?」
黒いオーラは部屋中を駆け巡り・・・
セレミオ「これはいったい・・・!一体何をしたんだ!!」
エダン「あ・・・あんたにも見えるのか?」
黒いオーラは部屋にある古びた書物の上でしばらく留まり、その後部屋のドアから外へ出ていった。
エダン「やはり・・・これが手がかりだったか・・・」
本を手に取り、中身を確認するエダン。先程までなかった文字が、書物の中に書き出されていく。
エダン「記録が現れている・・・。」
(´・ω・`)「あんのぉ・・・」
エダン「君か」
セレミオ「なんだ?冒険者か?誰の許可でここに入ってきたんだ?」
(´・ω・`)「え、えーと、村長です」
セレミオ「あの老いぼれが?暇だったのかね。俺がここに入るのに数ヶ月かかったというのに。まったく、気分屋にも程がある。」
(´・ω・`)(このセレミオとかいうおっさん。感じわるー・・・。同じハイデルからきたなんて言わなければよかった。あ、でもハイデルから来たっていうことは・・・)
(´・ω・`)「あのぉ、おじさんジョルダイン卿から頼まれてここへ?」
セレミオ「ん?・・・え?あ・・・!お前もジョルダインの仕事の手伝いにきたのか!それならそうと早く言ってくれよ。勘違いするところだった。」
(´・ω・`)(あんた身元も分からない初対面の相手にそんな高圧的に接するんじゃないよ・・・)「まぁ、はい」
セレミオ「グリッシー廃墟の爆発事件には、どうやら不死の錬金術と関係があるようだな。」
不死の錬金術・・・エイリーンちゃんが言ってた禁忌の錬金術とは不死の錬金術だったのかな。
(´・ω・`)「ところで、この地下倉庫って・・・」
セレミオ「ここはもともとグリッシー廃墟までつながっていた秘密通路だ。しかし、廃墟はマッドマンたちがうろついていて調べようがないな」
(´・ω・`)「・・・」
セレミオ「君、ジョルダイン卿の送った冒険者だろ?それなら実力もお墨付きというわけだ、ドナトの日誌を見つけてきてくれたまえ」
(´・ω・`)(別にジョルダインに仕事を頼まれたわけではないけど、まぁそういうことにしといたほうが動きやすそうだし、このおっさんに従うのは癪だけど、いっちょやってきますか・・・)
マッドマンというヘドロみたいな敵の間を抜けて、すでに廃屋と化した住居にある机の上にドナトの日記を見つけた。
その日記に触れた瞬間、ここで過去にドナトとフレハラウがしたやりとりがうつったようだった。
ドナト「やっと鍵を手に入れた!これですべての準備が終わった」
フレハラウ「ドナト!その箱に、何があるかわからないじゃないか!いい加減、偽りに頼るのはやめろ!」
ドナト「もどかしい奴・・・この鍵さえあれば、村はもちろん、世界も私のものになるはず!」
フレハラウ「君は正気じゃない!」
ドナト「邪魔だ・・・」
そう言うと、ドナトの手から、黒い力がフレハラウに伸び、フレハラウを壁に押し付け身動きがとれないようにする。
ドナト「それは・・・すぐにでもわかるようになる」
部屋にあった、木箱に鍵を挿し開くドナト、開かれた木箱からはどす黒いオーラが広がり部屋中に一気に広がった。
ドナト「見ろ・・・・この力が我々を救うんだ!」
フレハラウ「ドナ・・・ト・・・」
黒い力はドナトの中にどんどんと入り込んでいく
そこまでで目の前に映っていた過去の光景がふと消えた。
日記を見る。
ドナトは日記に最後の時を記していた。
そこには友、フレハラウにあてた謝罪があった。
闇にのまれたドナトだったが、最後の最後では正気に戻っていたらしい。
日記をフレハラウ村長に渡した。
「そうか・・・他の者がなんと言おうと、私はドナトが生きていることを信じていた。しかしそうか・・・遅くはなったが、こうして彼の死を知ることができた。」
フレハラウは顔をそむけ、こちらに目を合わせないまま、少し声を震わせて言った。
「ドナトはただ、誰よりもグリッシーを愛していただけなんだ。良い村長であったと、君の中では思っていてくれるだろうか。」
(´・ω・`)・・・
故郷を、そして村民を愛するあまり、闇の力に手を出してしまったのか。
しかしそれが結局、村に破滅をもたらす結果になろうとは(´・ω・`)
アルスティン「フレハラウ。なかなか気分にはなれないだろうが、闇の君主について話がしたい。一刻も早く動かねばならないのだ」
フレハラウ「うむ、そうだな。冒険者よ。君にも聞いてほしい。なんというか、君はドナトに似ているのだよ。だから心配なのだ」
ところで、黒いオーラがとどまった書物に浮かび上がった記録。どういう内容だったのかは明かされぬまま。もしかしたら解読できない文字だったのかな?
ヤーズちゃんもやってきて闇の君主について話を始めた。
フレハラウ「ベルモルン・・・闇の君主が復活するには、彼が欲しがるほどの特別な魂が必要になるろう」
アルスティン「限りなく純粋な魂のことだな」
ヤーズ「それじゃぁ私を狙うの!?こりゃ大変だ!!」
アルスティン「・・・」
フレハラウ「・・・そうだな・・・うーむ」
アルスティン「思い当たる人がいるのか?」
フレハラウ「ハイデルの侍従長だが。彼は他の人とは違っていてな」
アルスティン「ジョルダインのことか?」
(*‘ω‘ *)で、でたー!ジョルダイン。何かと話題になりますね彼は。
フレハラウ「彼は、前にここを訪問したことがある。純粋な怒りでカルフェオンを憎んでいた。闇の君主としての器になりそうな魂だ」
ヤーズ「お~、それは深刻な問題じゃないか!エダンに教えてあげなきゃ!」
そう言うとヤーズちゃんはすたたとエダンのところへ向かった。
アルスティン「悪い歯車が噛み合っているようだ。このままではベルモルンの復活は避けられないかもしれない。」
(´・ω・`)「そしたらどうするの?」
アルスティン「彼の力がまだ熟しきっていない時に叩くしかあるまい。もし仮に、フレハラウの言う通りジョルダインが闇の君主の求める魂となるなら、そうだな。」
(´・ω・`)「?」
アルスティン「つい先日、カルフェオンからドーソンという者が派遣された。彼は事あるごとにジョルダインと争っているんだ。ドーソンの腕なら、ジョルダインはすぐさま窮地に追い込まれるだろうし、本気を出して力を使うことになるだろう。」
(´・ω・`)「そのとき、闇の力がジョルダインに力を与えようと動く・・・」
アルスティン「そうだ、フレハラウの言うように、闇の力を行使する者、シャドウナイト団が彼のような器を見逃すはずがない。君は、ジョルダインのそばにいて、闇の力が彼の所にこないか監視して・・・」
あとに続くべき言葉を言い終わらないまま、アルスティンは私の後方に目を向けていた。
ジョルダインの従者だ。
カロリン「ジョルダイン様がお待ちです。冒険者の方。」
(´・ω・`)「え・・・?ジョルダインがここへ」
カロリン「はい。ここの民の生活を上から見守っておいでです。」
高台からこちらを覗くジョルダインの姿が見える。
カロリン「冒険者よ。くれぐれも失礼のないように。ジョルダイン様は、このセレンディアで、一人を除くすべての人の上に立たれているお方。最大限の礼儀を持って接しなさい。」
(´・ω・`)「はいはい。わかりましたよー」
次回、ジョルダインの闇に迫る!!